梔子よ

  ほそい白いうなじを見せて 

  恥ずかしげにうなだれている梔子の花よ

  私はおまえに恋をしている


  そっとさしのべたその首を護るようにして

  頼りなげな がくが おまえを取り巻いている

  ふるえる花芯はいつまでも日の光に触れることはない

  おまえはその透きとおるような花弁の中で

  うっとりと甘い夢を見続ける

  虫が這っても気づかない

  人が触れても気づかない

  鳥がとまっても蝶が休んでも

  私がこうして揺すっても


  ああ 梔子よ

  私はおまえに恋をしている

 

  ⇒元絵